『ファウスト』のなかの復活祭
私にとってイースターは、ゲーテが生涯をかけた大作『ファウスト』の本編冒頭「夜」の場面と結びついています。
哲学・法学・医学・神学と、ありとあらゆることを研究し尽くしたファウスト博士ですが、満足を得られず惨めなままです。ファウストは毒杯を仰いで自殺しようとします。
そこへ朝の光とともに、「キリストは甦り給いぬ」の歌が聞こえます。復活祭と明るい春の訪れに、「信仰だけが俺には欠けている」と言うファウストもまた心打たれ、自殺を思い留まります。
O tönet fort, ihr süßen Himmelslieder!
Die Träne quillt, die Erde hat mich wieder!
おお響き続けよ、甘美なる天国の歌よ！
涙が溢れる、俺は再びこの世のものだ！
だから私にとってイースターは、自殺を思い留まる日です。今年のイースターまで、もつかな…？